富山市藤の木園町・午前七時半の階段を這い下りる「悪魔憑きの少女」
古のラテン語を唸る逆さまの四足歩行と、氷結した和室の天井を食い破る地獄の業火

「エゴ・スム・レギオー……! クィア・ムルティ・スムス……!」
立山連峰から吹き下ろす冷たい風が住宅街の屋根を撫でる十一月の朝、富山県富山市藤の木園町。
ごく普通の二階建て住宅の階段で、ある日の午前七時半、人知を超えたおぞましい怪異が幕を開ける。
みんなも西洋の悪魔祓いにまつわる「エクソシズム」や、人間に取り憑く「ソロモン七十二柱」の都市伝説、一度は耳にしたことがあるんじゃないかな?
背中を床に向け、首を後ろへ反らして白目を剥きながら、驚異的なスピードで階段を逆さまに駆け下りてくる十八歳の少女。
その口から吐き出される流暢な古典ラテン語と、ダンテの氷地獄を語る不気味なダミ声。
急遽駆けつけた飛騨高山の伝説の老エクソシストすらもが、バチカン伝来の聖水を無効化されて絶望の淵へと叩き落とされる。
そして午後四時十五分、室温が氷点下へと急降下した和室の天井が黒くひび割れ、青白い地獄の業火とともに本物の「異形の貴公子」が姿を現す──。
北陸の閑静な住宅街を震撼させた戦慄の憑依怪異、その恐るべき真相に迫ってみよう!